秋に参加したドッグキャンプで、たまたま食事のテーブルが一緒になったマイケルが食事の手を休めて私達に問いかけて来た。響き通る声を持つ彼は「教授」を思わせる雰囲気で、今までの交わされていたテーブルでの会話からもその博識度が伺える。日本人なら知って置くべきことをも知らない私だから、一体どんな難しい質問を投げかけてくるのだろう、ここは哲に任せよう、、そんなことを咄嗟に考え心構えた。
日本人は新しい物好きだって本当かい?
家もみんな新しい物を建てるって聞いたんだよ。
政治や歴史のことを聴かれたら大人しくしていようと思っていたが、これならば答えられる。
そうそう、そうなんですよ。
日本人は新築が好きで、古くなった家は高く売れないんです。車も中古はぐんと価値が下がるんですよ。
人間は誰しも「新しいものが好き」だと思っていたが、それは特に日本人に言えると分かったのは、アメリカに来てからだた。そして「日本人の方が変わっているのかもしれない」と思うようになって来ているこの頃だった。
そう、アメリカは違う。例えば私達が住んでいる家は1970年に建てられたものだ。造りは古いが中は綺麗にリノベイト(改装)され、2004年に売られ始めた。こうして中を改装することによってその価値は下がらないどころか、時には改装することによって価値が上がる家もある。車もそうだ。さすがに我が家の車のようにもう10年近くも乗って、しかもポンポンコツコツと音を立てるようになってしまった場合には話は別だが、1年乗っては買い換える人もいるように、中古の価値が下がらない。